ブックタイトルm22_201402040000_kushima_k_h2602
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随想中山満彦(なかやまみつひこ)(62歳)「愛ラブ南那珂牛(宮崎牛)への想い』昨年、笠祇小学校から、『和牛の里』笠祇の子どもたちに、平成24年に長崎県で開催された『第10回全国和牛能力共進会(以下全共)』での日本一連覇を含めた牛の話をしてほしいとの依頼があった。話すなら3回に分けてと、1学期に口蹄疫のこと、2学期に全共のこと、3学期に牛肉のことと決めた。どう話そうかと悩んだが、1回目の口蹄疫の話で少しは理解してくれたなと感じる。いよいよ本題の全共の話。熱心に聞いてくれて本当に有難いと思った。私にとって全共は、本当に憧れの夢舞台、和牛の祭典(オリンピック)。5年に一度、全国から選抜された優秀な一握りの和牛しか行けない場所。そして、和牛の改良を確認し評価される場所でもある。宮崎牛としての改良がどうなされてきたのか。ひいては南那珂地域の和牛についても同じことだ。この永い50年の歴史の中で、当地域からは肉牛以外は全く出頭できず、県内の大きな壁に毎回跳ね返され、涙を呑んだ。先人から引き継いできた改良が、1回も全国のひのき舞台で、日の目を見ることができていなかった。そんな中、先人の想いを胸に刻み、若手技術者たちが一念発起して県内の先進地に出向き、懸命に技術習得のために研修を積んだ。生産者と一体となって取り組んだ結果「宮崎を制すれば日本一」と云われる予選会で、見事に南那珂地域の和牛市場で初めて、種牛の部2部門に4頭(繁殖用雌牛)、肉牛1頭の出頭枠を勝ち取る快挙を達成した。関係者にとって、本当に夢が正夢になった瞬間であった。それからなお一層、生産者と技術者、関係者が一体となり、全共に備えた。特に代表農家は、宮崎県代表としての大きなプレンシャーがあったと拝察する。朝早くから毎日、牛の観察、手入れ、調教と一生懸命な努力が続いた日々。不安いっぱいの、他人には計り知れないご苦労があったと思う。そのご苦労に対し本当に頭の下がる思いでいっぱいである。しかしいざ晴れの舞台へ上がってみれば、その努力が実を結び、全頭が部門ごとの栄えある和牛日本一の称号を手にしていく。そのたびに、これまで南那珂牛の改良に邁進されてきた幾多の関係者、また今は亡き大先輩たちの顔が浮かび、人目もはばからず涙を流し、誰となく抱き合い喜びあった夢のような瞬間。1年数力月経た今も、昨日のことのように思い出しては熱いものがこみ上げてくる。そして何より、早朝の全共の出発や深夜の凱旋にもかかわらず、数多くの畜産農家が仲間のために喜びの涙を流し、お互いに抱き合い一喜一憂して集う姿に、南那珂の人たちの和牛に対する熱い想いに、ただただ感動するばかりだった。これからも先人の想いを今にしっかり伝えてくれる若き畜産指導員と生産農家、そして南那珂牛(宮崎牛)の将来を見守り続けたいと思うこの頃である。これまでの南那珂牛(宮崎牛)の改良に邁進した先人の想い、関係者と生産農家の想い、若き畜産指導員の熱き想いで2連覇を成し遂げた日本一の宮崎牛(南那珂牛)。そして何よりも「人と人、そして牛」との絆のいっぱい詰まった美味しい味を、ぜひご賞味あれ。