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概要

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随想お世話になった皆さんと宮崎海洋高等学校実習生の皆さん福釜知佳(ふくがまちか)(24歳)東京都足立区出身。東京大学農学部卒業後、2012年農林水産省入省。現在、水産庁でミナミマグロの国際条約関係業務などを担当。農林水産省入省2年目の現地研修として30日間都井に滞在し、定置網漁業などに従事した。趣味は日本泳法。「串間での研修体験を胸に」11月11日から12月10日までの30日間、都井・立宇津の川崎養成さん宅に漁業研修のため滞在した。川崎さんは主に定置網漁業を営んでおり、月曜から土曜まで朝4時に出航して網揚げし、水揚げした魚をトラックで目井津の市場に出荷する。日中は定置網の補修作業などを行っており、一日中働くこととなる。研修中は私も網揚げや出荷などに同行した。寒空の下、夜明け前に行う網揚げは決して簡単ではなく、速潮や時化の際は網揚げが中止されるなど自然の厳しさも思い知りつつも、夜空の美しさ、漁獲物に日々わくわくしながら取り組むことがでろうきた。漁撈活動を通じ、色々な方から魚のおいしい食べ方を教えてもらったりもした0また定置網漁業に限らず、串間市東漁協の自然保護活動、他の漁業の見学や観光関係の会合など、さまざまなことにも参加した。いずれにおいても、書籍だけでは知り得ない現場の様子を見ることができ、またそれぞれに関わる方々とお話ししたり、実際に新鮮な串間産の農水産物を食べてみたりして、自然溢れる串間の魅力について感じることができた。手付かずの自然、澄み切った空の下でとれたものは、素朴な味付けにもかかわらずどれも非常においしかった。今回、研修で関わりのあった全ての皆さまにお礼を申し上げたい。漁業は農業同様に後継者不足が喫緊の問題であるが、今回串間での研修を通して改めて思ったことは「漁業は魅力ある職業である」ということだ。漁師は「危険、汚い、きつい」の3Kであるとして回避されることがある。確かに、漁師は危険な海の上で、海水まみれになり、早起きしての肉体労働をする。それでも、漁業には魅力がある。漁業者の皆さんは豊かな表情をされているということである。自然と隣り合わせの仕事だけに、自然の美しさも知ることができる。毎日網の中に入る魚の種類も量も異なる。「今日はどれ程獲れるだろう」わくわくしながらの仕事。海況について周囲の漁師との情報交換。毎日獲れたての魚で彩られる食卓。捕れた魚を通じた近所の人との交流。そんな人と人とのつながりに溢れた豊かな生活こそ、漁業の魅力なのではないだろうか。入省直後の研修で「役に立つ人になれ」との訓示があったことを思い出す。漁業があって初めて成り立つのが我々の仕事である。今後は串間での研修をしっかりと心に刻み、漁業を営みたい皆さんが意欲的に漁業を続けるための役に立つよう、現場本位の漁業振興を常に念頭に置いた仕事がしたい。今回の研修では、ここに列挙しきれないほど沢山のことを学び、いわば私にとって串間は「第二のふるさと」になった。いつの日か、胸を張って串間に「ただいま」と戻って来られるよう、頑張りたいと思う。