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概要

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著:串間市民病院麻酔科医師田原正路年を取ると眠れない?年末にさしかかり、寒さも増してきましたが皆さんいかがお過ごしでしょうか?今回は高齢者の不眠についてお話したいと思います。「なかなか寝付けんとよね」「朝早く目が覚めるがね?」「睡眠薬をもろちょるよ」年齢を重ねた方からよく聞く三口葉ですね。『年寄りは早起き』って昔から言いますが、それは本当?本当ならなぜなのでしょうか?そもそも眠くなるってどういうこと?まず、眠くなる仕組みについてお話します。これには『疲れたから眠る仕組み』と『夜になるから眠る仕組み』の2つがあります。日中の活動量が減ってしまう方が多い高齢者では、疲れて寝るというのが難しくなるのは想像がつきますね。もちろん若い人でも、じっとしている時間が多いと同じです。それでは、もう]つの『夜になるから眠る仕組み』についてです。人間には一日周期でリズムを刻む体内時計が備わっており、意識しなくても活動状態と休息状態を切り替えています。この働きで自然に夜には寝るようになっています。この時計は、ぴったり24時間ではないのですが、毎朝光を浴びることでリセットされ一定のリズムを刻んでいます。この体内時計を調節しているのがメラトニンというホルモン。このホルモンは年齢とともに分泌量が減ることがわかっています。9時間も10時間も眠れていた若いころと比べると、だんだんと5?6時間しか眠れなくなるのは体内時計の調節機能が弱くなるためと考えられています。ということで、若いときほど眠れないのは仕方ないんです…。と言っては元も子もありませんので、そのことを頭に入れた上で、生活習慣の見直しをしてみましょう。よりよい眠りのために1朝起きたら朝日を浴びましょう先に書きましたが、体内時計のリセットです。雨や曇りの日でも、外を見るだけで大丈夫みたいですよ。2規則正しい生活を心がけましよう起きる時間、食事の時間を規則正しく整えましょう。運動の習慣も大事ですね。昼寝をするなら15時までの20?30分が最適です。3眠くなってから床につくあるデータによると、高齢者ほど寝床に入っている時間が長いことがわかっています。体は眠れる時間が短くなっているのに、寝床にいる時間は長くなる…。結果、うつらうづらしている時間が長くなり、睡眠の満足度は低下してしまうようです。また「寝らんといかん!」という意気込みや「寝れない!」という焦りは頭をさえさせてしまいます。4寝る前の習慣を見直しましょう寝る前のお茶やコーヒー、タバコ、食事、テレビ、パソコンなどは避けましょう。寝る1?2時間前にぬるめのお風呂へ入るとよく眠れるようです。また、寝酒はやめましょう。お酒は眠くなるように思いがちですが、深い睡眠を減らし、途中で目が覚めやすくなります。そして、夜は部屋の照明を明るくしすぎないように。明るすぎる照明は、現代の不眠症の原因の一つと言われています。それでも困ったときはもちろん「眠れない」理由には、年齢や生活習慣だけではなく、体の病気や、心の病気、認知症などによって引き起こされるものもあります。たくさん寝たのに日中眠たい、激しいいびきや息が止まることがある、足がムズムズする、などの症状は専門治療が必要なこともあります。そのようなときには、まずはかかりつけ医の先生にも相談してみてください。最後によりよい眠りのための生活習慣は、高齢者にかかわらず、子どもから大人まで当てはまります。みなさん、ぜひこれまでの生活習慣を振り返ってみてくださいね。上手に眠って、快適な生活を目指しましょう。