ブックタイトルm07_201310080000_kawaminami_2510
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これまで日本各地でおこなわれて来た「地域づくり前回は、「大好きな川南町をつくろう」と言う話をいたしました。今回は、「川南づくり」の話に入る前に、遠回りですがこれまで日本各地でおこなわれて来た「地域づくり」について考えてみましょう。さてみなさんは、「地域づくり」に関心がありますか?自分には関係ない、と思っていませんか?みなさんにとって、「地域づくりや地域おこし」でイメージされるのは、「町に花を植える」、「イベントをやって人を呼ぶ」などでしょうか。普通、地域づくりと言って想像される軽トラ市などのイベント活動は地域にとってとても良い活動ですが、それだけで十分でしょうか。そして、「大企業や工場誘致」、「道路や空港など、インフラ整備」、「○○ツーリズム」などが、「地域活性化」を目的におこなわれてきました。しかし、そのことも少し考え直す必要がありそうです。/実は、「地域づくり」は時代によってその意味が変わってきました。まず、日本は明治の初め文明開化によって西洋文明を取り入れました。そこでは、西洋の文化が一番で、日本の生活文化は「和風」として「洋風」の暮らしぶりより下だと位置づけられました。そして「西洋に追いつけ追い越せ」が地域づくりの基本となりました。そして戦後、アメリカの圧倒的な物質的な豊かさに我々は目がくらんでしまいました。今、私は59歳ですが、ちょうど小学生のころから「均衡ある発展」という言葉が使われ、アメリカのような豊かな国を目指したのです。列島改造論に代表される考え方を導入し、インフラ整備によって日本は大きく成長すると同時に、経済政策に力を入れ目覚ましい発展を遂げました。これが高度成長時代の地域づくりでした。また最近では、国土強靭化計画や安倍ノミクスで日本を取り戻す、発展へ導く施策が進められています。まるで高度成長時代に逆戻りしたかのような状況ですが、これで全て上手く行くと良いのですが、果たしてどうでしょうか。全国各地に伺って日本の中の辺境の地を見渡しますと、そのほとんどで人口が減少し、その上高齢者ばかりとなり集落の機能も維持できなくなってきています。これは、千年以上続いて来た各地特有の風土に沿った生活文化が途切れそうになっているということです。これでは、日本の将来はお先真っ暗なように私の目には映ります。川南のまちはどうでしょう。数十年後、みなさんの子供やお孫さんが楽しそうに暮らしている川南のまちが想像できますか。そんな状況の中、インフラ整備や経済活性化だけで未来が安泰かどうか、子供達がそこに住む希望を見いだせるかが問われています。日本は、明治以降百年で人口が約3倍になりました。そして、これから百年で人口は半分になると予想されています。また、経済を支える一番活動的な世代を示す「生産年齢人口比率」が、急激に減少すると予測されています。人口動態から見ただけでも、維持費のかかる大型の施設・インフラを整える事が地域の未来を明るくするとは思えないのです。その上、大企業誘致の成功事例として有名な三重県のシャープ亀山工場では、企業そのものの存続すら危ぶまれる事態が起こっています。では、どうすれば良いのでしようか。まずは、を変えましょう。前お客さんが素通りする寒村だったところが、一度は泊ってみ問題の立て方例えば、40年たい街に変わった湯布院温泉。ここでは、地域づくりの中心を担った中谷氏や溝口氏が「どうすれば自分の子供が湯布院に残ってくれるか」という問題を立てました。決して、「地域活性化のため、旅館やホテルを大きくする」のではなかったのです。ましてや地域おこしのため、流行りのゴルフ場やレジャーランドの誘致ではなく、逆にそれでは子供達は帰って来なくなると、ゴルフ場建設に反対をして今があるのです。どうすれば子供達が残ってくれるか、その答えをみんなで考え実行したのが湯布院です。川南の子供達が、未来に向かってここで生きる希望を持つこと、いったいどうすれば良いのでしょうか。次回、考えてみたいと思います。ふくいたかし福井隆さん東京農工大学大学院生物システム応用科学府客員教授持続可能な地域社会の構築を目指して、地域住民・企業・行政がパートナーシップを組み、協働して身近な地域の環境を再生・改善する手法等を研究しており、全国各地で、地域社会の環境改善や地域活性化に携わっている。