ブックタイトルm04_201407100000_rediscovery
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m04_201407100000_rediscovery
縄の帯十次が六歳か七歳のころの話である。秋祭りがきて、十次は、母親に新しい着物を着せられ、新しい帯をしめてもらった。「さ、きれいになったわ。遊んでらっしゃい。」十次は胸をはずませて天神様に向かった。鳥居のそばで、小さな子が、しくしく泣いていた。「あっ、松ちゃん、どうしたんだ?」松吉が、破れた着物を着て、縄の帯をしめているので、のけものにされていることがわかった。「泣くな、松ちゃん、ぼくの帯をやるから。」十次は、自分と松吉の帯を取り替えた。その後、松吉を連れてみんなと遊んだ。夕方、家に帰ると母に聞かれた。「あら、十次、帯はどうしたの?」十次は正直にわけを話した。しかられると思ってびくびくしていた。しかし、母はやさしく笑った。「そう…。それは良かったわね。松ちゃん、喜んだでしょう。」十次は、自分も、雲のような喜びがわきあかってくるのを感じた。「やっぱり、僕のお母さんだ。僕もお母さんのように、弱い人や貧しい人を助けてやれる人間になろう。」とひそかに誓うのでした。作詞安田尚義