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概要

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滝一郎のちょっとちょっと第14回ツユクサ月某日、台風4号が足早に通りすぎて、本格的な梅雨がやってきた。「九州南部に梅雨前線が活発になってきて一時間50ミリの大雨が降る恐れあり。洪水や土砂崩れに要注意。西日本では被害が出るほどの大雨が降る」とテレビが報じている。それを聞きながら「これでツユクサの写真が撮れる!」と、張り切って庭に出てみたが、さっきまであったツユクサの花がない。あわてて道端を探したがそこにもない。朝、まだ露が残っているうちは、しゃんとしていたのに、雲間から太陽が顔をだしたとたん、萎しなびてしまった。ツユクサは朝開いて夕方しぼむ「一日花」だとばかり思っていたが、そうではなかった。ツユクサの花は夜昼に関係なく、空の明るさで開いたり閉じたりしているのである。万葉集には、ツユクサを詠んだ歌が9首ある。鴨ツキクサ頭草に衣は摺すらむ朝露にぬれての後は変うつろひぬともツキクサはツユクサのことで、この歌に見るかぎり、昔の人もツユクサは朝開いて夜閉じるものだと信じこんでいたらしい。この「うつろい」の色は、デルフィジンというアントシアン系の色素で、水や光に弱く、染めた色が早くあせてしまう。これは人の心の空むなしいさまに似ている。つまり「変うつろい」の色である。柔らかい茎をつみ、熱湯にくぐらせて、お浸しや芥からし子和え。さらっとした、しゃれた味が身上。花時に全草を乾燥して利尿剤とする。心臓の病気やゼンソクにも効果がある。滋賀県で作られている青あおはなかみ花紙(※)は、友禅などの下絵に用いる。※青あおはなかみ花紙=ツユクサの花の絞り汁で染めた和紙。水に浸すとすぐ脱色する特色を応用して、友禅・描更紗・絞り染めなどの下絵描に使用。(文・写真/滝一郎)62013.August No.556発行/西都市役所編集/総務課〒881-8501宮崎県西都市聖陵町2丁目1番地Tel.0983-43-1111 Fax.0983-43-2067ホームページアドレス/http://www.city.saito.miyazaki.jpメールアドレス/koho@saito-city.jp印刷/㈲ふくしげ印刷0983-42-3651さいとさいと広報