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概要

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物忘れなされまじき事。人一、御学問御武芸は忠孝の基いにて御座候へば御慨怠被成まじく候事。一、其御家の御式法小事たりとも御違犯なされまじく候。大臣は御国の柱、諌め等必御用ひ被成、小臣といへども異見守』申候者、必ず御悦び御受入可被成候。諌を納る事は人君の美徳にて、諌を申候臣は戦場の一番槍の功より増るとやんごとなき御方の仰せられし事、かねム\御覚情可被成候。一、人に君たる御身は寛仁大度と申候て、ゆったりとして人を憐み、御胸中広く人を疑ふことなく、何事もあくみの無御座様に御心懸可被遊候事。御身持第一の御執行は、敬の一字に御座候。敬と申事むつかしき事にてもなし。御心の向を正直にして心の本第8編を束ね、末の散らぬ様に被成、立居振舞番人の付て居る如く、事をするに目付のある様に影日向なく、油断致し不申が敬と申ものにて、是に残る事無御座候。然れども始めあらざる事なし、終りある事難しと申候て、続き不申侯まま、一日より一月に至り、一月より一年に至り、一年より百年となし候へば、何事も災の出候事もなく、身の御養生の悪き事もなく候。もろ/\の邪悪も除き申候ゆえ、敬は百邪に勝るとも古人の仰せられしためしも御座候。一、人の上に居給ふ御身は何事も謙退深く、我に智恵ありとし給ふ事なかれ。下より褒めそやし候へば、大かたは我は智恵ある者と思召候より万の悪事も出来、諌をも拒ぎ給ふ事にて、率告を禁じ倹約を守り、人に施したる事は思ひ給ふ事なかれ。人に恩を受けたる事は、明か忘れ給ふ事なかれ。善事は少しなりとも必為し給ふベし。悪事は少しなりとも必為し給ふべからず。我身つめりて人の痛さを知ると申事候。我きらひの事は人も同じくきらひなる事を思召やり、人にしかけざる様に致し、万におもひやりを致し候事、恕の道と申候て御一生涯の御執行、是に過ぎたる事なく候。愚かに拙き人も、人の上を詩り答むる事は明かなり。賢く明かなる人も身の上の悪しきを知る事は暗し。人の上を責むる心を以て自身を責め、我身をゆるす心を以て人をゆるさば、大ゃう宜しからんと古人も宣へり。今度我国の公子上杉家へ被為入候に付、御幼少よりも御心存じに成可申の条々重道が愚かなる書付、乍恐御銭別に奉差上候。夫れ人は貴賎となく天地を大父母として生るれば、大父母の御心にかなふように心を御用ひ成され候事、御肝要の御儀と承り候。天地の大父母は何をか心とするなれば、天地は物を生ずるを以て心とすとあれば物を育て害はず、慈悲の心を以て心とし、仮初にもむごき事を好まず、君を敬ひ父母に孝し衆人を憐むに至るまで皆此意にあらざる事なし。されば人の君となりて仁に止ると申事の候へば、人君の道に至る肝要の御事と奉存候。天地の心にかなひ給へば天道の冥福もあり、人道にもかなひ給ひ、幾千代にても目出度御栄被成候御事、必定の理りにて御座候。斯く室百一続けなば浜の真砂の数より多かめれど、おきなき御心には諭し難き事ども書綴りても益なく、且は筆の力もなければ暫くおくと也。1164宝暦十庚辰年八月吉日第三条中の「敬の二子」平易に説いて適切である。闇斎ρ斗ι寸」派=の一好真善髄太Eき夫容品重野護ゅ理;:蓄をの内容は、