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概要

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が第八代としてこれを継ぎ、翌寛政元年〈一七八九)初入部し、六月十四日、法令・条目調を命じている。家老小田権之丞を惣都合として奉行坂田宇平次、者頭大塚太一郎(観澗)が当たり、寛政二年二月、五十五条が定められ、それが現在伝えられている。天明元年八朔に読み渡された法令も大綱はほぼこれと同様であったであろう。「吉岡鍋藩史話」そのほかに「法令十一条」とか「高鍋藩士規」として引用せられているものは天保十五年改訂の冒頭の部分を引用したものである。寛政二年更張の冒頭のものとは多少内容や語句にも相違があるが、大綱においては天明元年以来ほぼ同様と見てよいであろう。この法令は通俗には「高鍋論語」といわれ、諸土および諸奉公人一般の日常生活のよりどころとなり、一般教育の効果を収めていたものである。便宜上、高鍋藩士規と題し次に掲げる。高鍋藩士規高鍋務の教育文武忠孝を励まし、礼儀廉恥を正し、自己の行跡相慎み、夫婦兄弟睦まじく、家内を取治め、老人を敬ふベし。若し不忠不孝の者、これあるにおいては、重罪たるべき事。附、忠孝その外徳行芸能格別の者あらば、申し出きつべき事。男女の別正しく相慎むべし。不法の事これなきゃう、その親兄より教訓致すべき事。附、貞操の婦女これあらば申出づベき事。益友を求め、広く相交わり、義理の講究肝要たるべき事。親類貴賎に拘わらず、その続きを考へ、夫々手厚く相交わり、兼ねて寄合の村中、何事も申し合はせ、睦まじく交わるべし。病気並びに災難これある節は、力の及び、互に相救ひ、且つ召使の四釘~ 5章者に至るまで、憐感を加ふべき事。士の節義相暗み、惣じて卑劣の義これなく、風俗を乱るべからざる事。六万づ倹約を用ふベし。知行損毛そのほか差し知れたる大なる失墜は絡別、子細なく内証逼迫せしめ、御奉公勤の難き輩は不忠たるべき事。りんしょく聞、倹約に蔀寄せ、す合沓を好み、金銭安」殖し、士に似合わざる所作致すまじき事。おろそしたが七惣じて小供の教育疎かにすべからず。その格式性質に随ひ、御用立ち候ゃう、文武の道修行致させ申すべき事。附、新知召出され候面々、その子家業別して出精致させ、きっと五八御用立候ゃう致すべき事。経学の儀は、人道の当然につき、貴賎共に学校へ入学、定めの通り悌怠なく出席致すベし。尤も頭立候格合の者は、修己治人の当務、別して精しく講究致すべき事。軍学是又経学に差し続き候儀故、何れも一通り相心得べきは勿論、小給以上の面々は、稽古所へ出席、猶更精しく吟味致すべき司'司ブL-1-武芸是又その格式に応じ、弓馬・剣槍・柔術・砲術・長万等、何れも肝要の芸術に付き、性質に随ひ鍛練致すべき事。附、小給以上槍術、中小姓・徒土長刀、専ら稽古致すべき事。諸芸術並びに医者、それ以下家業これある諸職人に至るま十で、家督相続の儀、諸士格の通り宛行ふべきは勿論、幼年または家業の芸術未熟の内、知行三歩通り納め置くべき事。右のように、各方面にわたって懇切に説き、強圧的なところがなく、法令というよりは日常生活の心得という趣である。寛政二年改訂の法令263